こんにちは。すっかり朝晩は冷え込むようになりました。皆さんは、いかがお過ごしですか。
私は、旅行好きな両親と夫が次々と計画してくれるおかげで、グルメに温泉に紅葉にと、秋は楽しい予定が目白押しです。
先週末は、キャンプに行ってきました。キャンプといっても、まだ子供が小さいので、テントではなくコテージで。私はアウトドア音痴なので、コテージで助かりました^^;
ここは昨年も利用させていただいた「うるぎ星の森オートキャンプ場(長野県)」です。とても清潔で、設備も景色も素晴らしいので、予約を取るのが大変ですが、毎年訪れたくなります。
山の上は紅葉が美しく、空気も美味しくて、久しぶりに外でマスクをはずして、リラックスして過ごすことができました。
普段、色々なことに追われていると、知らず知らずのうちに疲労が溜まってしまうので、このように自然の中でリラックスして過ごせる時間が本当に貴重です。
そして本もいくつか読んだのですが、その中で、とても興味深く、面白いと思った本があったので、今日はそれについてお話していきます。
よろしければ、お付き合いください。(長くなりそうなので、お時間ある時に是非。)
「占いはなぜ当たるのですか」
鏡リュウジ
この本、とっても面白かったです。
鏡リュウジさんが、少年時代の体験から今に至るまで、占いに対し行ってきた研究や考察について、正直に、饒舌に、語って下さっています。
鏡リュウジさんといえば、占い好きの人で知らない人はいないでしょう。
そんな鏡先生ですが、パーティーなどで職業を聞かれることに、ずっと悩まされているそうで、
「占い師」「占星術研究家」と名乗ることにどうしても抵抗があり、「何をされている方なのですか?」と聞かれると心臓がバクバクし、「作家や翻訳や・・・・(かなり小さい声で、聞こえないでくれっと願いながら)占いをしています」と答えているそうなのです。
でも、そのお気持ち、少しだけ理解ができるように思います。鏡先生はとても頭の良い方だからこそのお悩みだとも推察します。
そして、鏡先生は、本当に多くの方から「占いはなぜ当たるのですか」と質問を受けてきたそうです。
鏡先生の占いを受けた方は、最初はどんなに占いに猜疑心を持っていたとしても、次第に目を丸くして、こう聞くのです。
「占いはなぜ当たるのですか?」と。
「占いは当たりますか?」ではなくて、
占いが当たるのだから、「なぜ当たるのですか?」と聞かれるのだそう。
ですから、その答えについて、鏡先生ご自身の考察を、ご自身の経験やとてもプライベートなことまで含めて、贅沢に語ってくれています。
これは占い好きや、占いを生業にしている人にとっては、興味深い内容ですよね。
500ページ近くある本書ではありますが、とても読みやすいので、あっという間に読めてしまいます。
鏡先生は、少年時代から占星術やタロットカードに強く惹かれ、国内で手に入る占星術の本はすべて読み尽くし、
さらに家族で初めてハワイ旅行に行った時には、ハワイのオカルトショップへ行き、占星術の難解な本を数冊手に入れ、英語もまだできないのに、何が書いてあるのかを知りたい一心で、辞書を片手に、一語一語、単語の意味を調べていったそうです。
もう占いへの情熱がすごいです。
ですが、「好き」「惹かれる」という感情とは裏腹に、どこか占いに対する「猜疑心」も常にあり、それを払拭する為にも、勉強し、学者としての道を歩まれようとされました。
国際基督教大学・同大学院では、ユング心理学について研究され、優秀だった鏡先生は、先生方から大いに期待されていましたが、そんな中でも大学の長期休暇には英国へ渡り、心理占星術についての講座を受けたりされていたそうです。
大学院を卒業する頃には、本格的に占いの道に進もうか(鏡先生は学生時代からかなりの数の占いの仕事を受けており、メディアにも出ていました)、心理学者への道へと進もうか、随分悩まれ、その際には、ご自身のホロスコープの知識があったからこそ救われたというエピソードを本書の中で語っておられます。
結果的に、鏡先生は占いの道へと進まれました。だからこそ、私は今、鏡先生の著書から多くの学びをいただくことができています。
さて、皆さんは
占いは、本当に「当たる」と思いますか?
答えが「YES」であるならば、
「なぜ、当たる」のだと思いますか?
本書の内容もふまえつつ、
是非一緒に、「占いがなぜ当たるのか」考えていきましょう。
中国最古の占い「易」
5000年の歴史を持つ「占星術」
15世紀にはじめて生み出された「タロットカード」
それ以外にも、四柱推命や九星気学、手相など、様々な占いがありますが、
「占いとは歴史のある統計学」と言っている占い師は、まず疑ってかかるべきだと本書では述べられています。
なぜなら実際に、これらの占いを本格的に統計学によって分析し、その効果が実証されたケースはほとんどないからです。
そう言ってしまうと、じゃあやっぱり科学的根拠はないんだよね、となってしまいますが、、実はそうでもありません。
というのも、今まで統計研究が全くなかった訳ではなく、例えばナチスに雇われノストラダムスの予言を都合よく解釈し、プロパガンダに利用した、ドイツの占星術家カール・クラフトは、統計研究をしていたと言われています。
ですが現代の分析によると、彼らの「統計」は、その標本(サンプル)の収集方法やきちんとした統制群を集めていないことなど、不備があまりにも多く、評価はできないものであったとされているのです。
しっかりとした統計をとる為には、訓練された専門家の力が必要であり、またそれを評価する側にも同じような注意力と厳密さが求められるからこそ、占いを科学的に分析するというのは至難であるそうです。
ただ、そんな中でも、過去には占いが科学的に証明されたケースもありました。
1976年、ソルボンヌ大学出身の心理学者ミシェル・ゴークラン博士が、フランスで非常に優秀だとされる医師576名の出生時刻のデータを集め、ホロスコープを作成し研究したところ、実にドラマティックな結果を示しました。
なんと非常に優秀な医師たちは、土星か火星が、頭の真上を過ぎたところか、あるいは地平線から少し昇ったところで生まれているという傾向が見られたのです。
念のため、ゴークラン博士は、一般人のデータを無作為に選び比較をしましたが、その場合には、そんな偏差は見られませんでした。
ゴークラン博士は、さらに研究を進めます。
ベルギー、フランス、オランダ、ドイツなどで、各職業から、通算2万5000件にも及ぶデータを集めて研究したところ、
例えば、科学者と土星、軍人と木星、スポーツ選手と火星など、「惑星の位置」と「職業の関係」が明瞭に示される結果となったのです。
そればかりではなく、ゴークラン博士は、個人の性格と惑星の位置、さらには親子の間の生まれた時の惑星の位置の間にも、密接な相関関係を発見することに成功しています。
ゴークラン博士のこの研究は、最初科学者たちに無視をされました。どうせ何かの不備があるだろうと。占いなんて科学で証明できるはずがないと。
でも、ゴークラン博士は自身のこの研究結果を調査機関に持ち込み、調査してもらうよう要求します。
そして、度重なる調査の結果、ゴークラン博士の研究は、正式に科学的に認められたのです。
1995年に出版された『不屈の火星効果(The Tenacious Mars Effect)』という本の中でその詳細が示されているのですが、この本の序文には、ガリガリの統計主義者であり、また迷信排斥主義者としてよく知られるロンドン大学のアイゼンク博士がこのようにまとめています。
「いまやゴークランの説はきわめてきちんと科学的に立証されたので、事実として認めるべきである」
アイゼンク博士は、ゴークラン博士の研究を詳細に検討した結果、多くの科学者たちの偏見に満ちた態度、そう、アストロフォビア(占星術恐怖症)を恥じるとともに、このような言葉によって、その評価を締めくくっています。
「おそらく、新しい科学が誕生しかかっていることをはっきりと述べる時期がきたようである。くず全体のなかに、金の塊があったらしい」
ということは、占星術は、科学によってその効果を実証されたのか・・・?
一瞬、期待をしてしまいそうですが・・・
実際には、この研究は成功していますが、それ以外のほとんどの研究は失敗に終わっています。科学的には認められなかった研究の方が多いのです。
例えば「自殺」です。
自殺は、見る人によって感じ方が変わる曖昧な性格診断に比べると、紛れもない事実です。
“自殺と星の動きには、何かの関連性があるはずで、それはホロスコープのなかに現れるに違いない。”
そんな仮説を検証する為に、ある調査チームが研究を行いました。
調査チームは、1969年から73年の間にニューヨーク市での自殺者2250人のデータをまず収集しました。その中で、出生時刻までのデータが得られたのは311人。
さらに、これらの標本と同じ年に生まれた、自殺をしていない人々のデータも対象群として集めます。念入りなことに、それぞれの標本群は三つのグループに分けられ、細分化することで、データが偶然片寄ってしまうことを避けました。
そして、これらの標本のホロスコープを作成し、ありとあらゆるテクニックによって徹底的に分析がなされました。
基本的な惑星や星座などの要素はもちろんすべてチェックされ、それどころか、ほとんど全ての占星術の技術が検証されたのです。
これを医学に例えるならば、まるまる一週間人間ドックに入り、徹底的にありとあらゆる精密検査を受けるようなもの、と本書では説明されています。
さて、これだけ徹底的な分析を加えた結果、自殺者のホロスコープには何らかの傾向は発見されたのでしょうか。
ホロスコープにどのような特徴があれば、自殺を警戒する必要があるのでしょうか。
結果は、
「何もない」
「皆無」だったそうです。
占星術は、「自殺」という人生の上での大きな問題を、ホロスコープ上に表すことはなかったのです。
ということは・・・
例えば、今月の運勢、今年の運勢などで、ホロスコープ上に結婚や転職の傾向を見出していたとしても、自殺すらも見出すことができないのに、その結果を、本当に信じることができるでしょうか。
アイゼンク博士がいう、「黄金の塊」に比べて、占星術という全体をなす「くず」はあまりにも大きかったのだ。と鏡先生は述べられています。
ただ、この本が面白くなっていくのは、ここからです。
以前のブログで、占星術の歴史を少しご紹介させていただいたのですが、占星術には、キリスト教教会によってその存在を否定され、断絶された暗黒の時代がありました。
人間には自由意志があり、運命論(宿命論)などあり得ない。予言などできるわけがないからと。
ですが、そんな潮流の中でも、占星術は「予言」というスタイルではなく、「心理学」や「性格分析」という方向性によって、根強く心理学者によって研究が続けられました。(当時、逮捕されずに占星術を研究する為には、その方法しかなかったのかもしれません。)
実際、性格や思考パターンが運命を決めていくのですから、心理学と占星術が結びつくのは必然のように思います。
カール・グスタフ・ユングも、心理学研究に占いを持ち込んでいた一人でした。
そう。本書は、今世紀の学問である「心理学」と「占い」は、深い関わりがあることを教えてくれているのです。
ユングはもともと、精神医学者として出発するものの、精神分析に惹かれ、フロイトの下で研究をするようになりました。
そしてユングは、早いうちから占星術に凝っており、当たるかどうかの実験もしていたようで、『占星術とは5千年の歴史を持つ心理学である』と占星術を高く評価するような発言も残しています。
ユングは、フロイトに宛てて「診断や治療の難しいケースに出会うと、ホロスコープを作成しています。ホロスコープには、他の手段では不可能なほど正確な、患者の状態が現れることがあります」という趣旨の書簡を送り、精神分析を科学的な学問にしようとして尽力していたフロイトを慌てさせたこともありました。
フロイトは精神分析の父であり、現代における「無意識」の概念の提唱者です。
人間の心には、普段は意識をしていない深い心の層、すなわち「無意識」というものがあり、「無意識」とは、その人のこれまでの経験、特に幼少期の親との関係性によって形成されていくということをフロイトは説いています。
そして、ユングは、さらにその「無意識」の概念を広げます。
ユングは、人には誰にも教えられることなく、ある種のイメージを生み出す力があり、その人類に共通のイメージを生み出す無意識の層が「集合的無意識」であると主張したのです。
その発端となったのは、ある患者との対話でした。
つづく